世界に役立つ水田土壌の有機物保護力! ヒミツは鉱物?
水田の土壌有機物は、水稲収量を向上させるとともに地球温暖化の抑制にも寄与しています。有機物が分解されないのは、土壌団粒中に閉じ込められたり土壌鉱物に吸着されたりして、「保護」されているためです。そこで、保護の仕組みによって土壌有機物を「①保護なし」「②団粒内に保持」「③土壌鉱物に吸着」「④特に難分解構造で土壌鉱物に吸着」の4種類に分画し、その存在量を調べると、③が45%、④が35%、①と②が10%ずつでした。一方、炭素の同位体分析によりそれらの平均滞留時間を調べると、④では1~3千年だったのに対し、③や②はずっと短く、保護機構との関連性が示されました。また、滞留時間は、粒径などの土壌の性質やたい肥投入などの肥培管理によっても変化しました。土壌自身が持つこのような保護機能をうまく活用すれば、水田土壌に有機物をよりうまく蓄積できると考えられます。