森林のカルシウム不足を火山灰が救う
酸性雨の生態系影響は、欧米では湖沼から魚がいなくなり森林が枯損するといった被害が問題となりましたが、日本ではそのような影響は認められていません。それはなぜかを調べるために、本研究では土壌のカルシウムに注目しています。土壌中のカルシウムは、酸をイオン交換により中和する緩衝剤や、生物の必須元素として、森林生態系に必要なものです。
日本では、地質(基盤岩)由来のカルシウムの供給が乏しいといわれている花崗岩やチャートの地域でも、森林の樹木が元気に育っています。それは、はるか昔に降下した火山灰の貢献かもしれないと考え、森林から流出する渓流水中のカルシウムのうち、何%が火山灰由来なのかを調べました。