研究項目2. 同位体地図
安定同位体比の水平的な分布状況を地図上に書くことで、天気図や地質図のように安定同位体比の地図を描くことができます。これを同位体地図(isoscape)と呼びます。
人やモノに含まれる元素の同位体比を測定し、その元素の同位体地図と比較することで、人や物質の移動経路を復元することができます。本プロジェクトでは、さまざまな元素の同位体地図を作成し、それを公開して行きます。ここで公開される同位体地図を利用して自然科学だけでなく人文学分野の研究にも利用できる体制を整備することを目指します。
また、一つの元素から作成した同位体地図では「同じ同位体比」を示す場所がたくさん存在します。そのため、復元した移動経路の誤差が大きくなることがあります。しかし、複数の同位体比に関する同位体地図を重ね合わせることで、より確からしく場所の特定ができる可能性があります。本プロジェクトでは、複数元素の同位体地図を重ね合わせた正確な移動経路復元を行う新たな解析手法の開発にも取り組みます。
例.日本列島におけるSr同位体比の同位体地図
(この地図はNakano et al. (2020)で公開されている全国の地下水中Sr同位体比データから、ArcGIS Pro ver. 3.0.3によって作成しました。)