同位体環境学がえがく世界

同位体でわかること

沿岸域の地下水
-同じ深さの水質は、海からの距離で変わる?-

仙台市宮城野区の沿岸付近で、浅井戸1か所(深度3.1 m)、深井戸5か所(深度約30 m)と水路の調査を、2018年12月から毎月実施しています。採取した水試料のイオンクロマトグラフと水の酸素・水素同位体比の分析結果から、水路はNa-Cl型で溶存成分量が多く、δ-diagramの結果より海水と混合していることを把握しました。浅層地下水は(Na+Ca)-HCO3型で、溶存成分量や水の酸素・水素同位体比が時期によって変動するため、降水の影響を受けていると考えられます。一方、深層地下水のうち4地点はNa-HCO3型であるのに対し、沿岸に最も近い地点においてはNa-(Cl+HCO3)型を示すことから海塩の影響を若干受けていることが示唆され、ほぼ同じ深度の地下水でも場所によって水質が異なることが明らかとなりました。

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